見返りを条件に財産を取得させる「負担付遺贈」とは
包括遺贈には注意!
例えば、遺言に「A土地を遺贈する。ただし、遺言者の妻○○に対し、1000万円を支払うこと」とある場合です。この場合、受遺者は、1000万円の負担をしないと財産を取得することができません。
なお、受遺者が負担の履行をしないときには、相続人や遺言執行者は家庭裁判所に遺言の取消しを請求することができます。
しかし、仮にA土地が800万円の場合には、財産額を超える200万円部分の負担は必要ありません。受贈者は、遺贈の目的の価格を超えない限度でその負担を履行すればよいので、超える部分については、無効になるためです。
遺贈の場合でも相続税は発生
遺贈により取得した財産は、相続税の課税対象になります。よく「他人だから贈与税ではないの?」と聞かれますが、贈与税ではありません。贈与税は、生きている人から取得したときにかかる税金です。遺贈で財産を取得した際の相続税については、「遺贈で財産を取得した場合の相続税はどうなる?」を参考にして下さい。
遺贈では登記費用が高くなる
不動産の所有者が死亡し相続が開始すると、その相続人に所有権が移転するので、不動産の名義を変えるために相続登記の手続きが必要になります。相続人以外の者が遺贈で取得した不動産の名義変更をする場合には、登録免許税や不動産取得税など登記の費用が高くなります。■登録免許税
・相続人 : 固定資産税評価額×0.4%
・相続人以外 : 固定資産税評価額×2%
さらに、相続人以外への特定遺贈の場合には、不動産取得税もかかります。
■不動産取得税
固定資産税評価額(※1)×3%(※2)
(※1)宅地等の場合には、固定資産税評価額を1/2にした価額
(※2)非住宅用家屋の場合には4%
ちなみに不動産取得税がかからないという理由から包括遺贈にすると、トラブルが発生することがあります。包括遺贈は、「相続人と同一の権利義務」を有するため、相続人と遺産分割協議をすることになるからです。遺贈は特定遺贈にしておきましょう。
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